蓄電池はなぜ必要なのか
2026/08/30
― 太陽光発電を「つくる」から「使いこなす」へ ―
マッキンエナジーは、これまで太陽光発電を中心に再生可能エネルギーに取り組んできました。その立場から「蓄電池はなぜ必要なのか」を考えると、答えは非常にシンプルです。
太陽光発電には、「発電したい時間を選べない」という大きな特徴があるからです。
太陽光発電は、文字どおり太陽の光を受けて発電します。現場でパワーコンディショナーの表示を見ていると非常によく分かります。晴れている時でも、雲が太陽にかかった瞬間に発電量がガクンと落ち、雲が抜けるとまた一気に上がります。
雨の日でも明るさがあれば発電しますし、夕方も薄明るいうちはわずかに発電します。しかし完全に暗くなれば、発電量はゼロになります。
問題は、電気を使いたい時間と太陽光が発電する時間が必ずしも一致しないことです。
例えば一般家庭では、昼間は仕事や学校で家を空け、朝や夕方、夜に多くの電気を使う家庭も少なくありません。太陽光でつくった電気を、その場で家庭内の機器に使うことを「自家消費」と呼び、余った電気を電力会社などに送ることを「売電」と呼びます。
蓄電池がなければ、昼間に使い切れなかった電気はそのまま系統へ流すことになります。
そこで蓄電池の出番です。
昼間の余った太陽光の電気を貯めておき、夕方や夜に使う。つまり蓄電池とは、電気を「時間移動」させる装置だと考えると、とても分かりやすいのです。家庭用では、自家消費率を高めるだけでなく、システムの仕様によっては停電時の非常用電源としても役立ちます。
最近は、家庭用だけでなく産業用の大型蓄電池も急速に注目されています。
大きく分けると、電力系統に直接つなぐ「系統用蓄電池」と、太陽光発電所などに併設する蓄電池があります。
系統用蓄電池は、電気が余って価格が安い時間帯などに充電し、電気が不足して価値が高くなる時間帯に放電することができます。
また現在の電力市場では、単に電気そのものを売る「卸電力市場」だけでなく、短時間の需給バランスを支える「需給調整市場」、将来必要となる供給力を確保する「容量市場」などがあります。
簡単に言えば、卸電力市場では「電気そのもの」、需給調整市場では「素早く出力を増減できる能力」、容量市場では「必要な時に電気を供給できる能力」に価値があります。
蓄電池は充電と放電を素早く切り替えられるため、こうした複数の役割を担える可能性があります。
太陽光発電所に併設する蓄電池も重要です。
太陽光が一斉に発電して電気が余る時間帯には、出力制御が行われたり、市場価格が大きく下がったりすることがあります。その時間の電気を蓄電池に貯め、需要が増える時間帯へ移すことができれば、同じ太陽光の電気をより有効に使えます。
FITで稼働してきた既設の太陽光発電所にも、蓄電池は新しい可能性を与えます。
産業用太陽光では20年間の固定価格買取期間を終える案件が今後増えていきます。買取期間終了後も、発電した電気を自家消費したり、市場や相対契約で販売したりすることは可能です。
既設設備では初期投資の回収が進んでいるケースも多く、太陽光には燃料費もかかりません。ただし、電気が「完全にタダ」になるわけではありません。保守費用、設備更新、蓄電池の劣化などのコストは当然残ります。
また、条件を満たせばFITからFIPへ移行する仕組みもあります。
FIPとは、固定価格で買い取るFITとは異なり、市場などで電気を販売した収入にプレミアムを上乗せする制度です。市場価格が低い時間に蓄電し、高い時間に供給するという蓄電池の使い方との相性が良く、国もFIP移行と蓄電池併設を進める制度整備を行っています。
では、そもそもなぜ再生可能エネルギーが必要なのでしょうか。
ここを詳しく論じ始めると、それだけで一つの記事になります。ただ、二酸化炭素などの温室効果ガスが地表から放出される赤外線を吸収・再放射する「温室効果」の仕組みや、人間活動によって大気中のCO2濃度が増えていることは、観測と科学的知見によって確認されています。
ここで大切なのは、「カーボンニュートラル」はCO2を地球上からゼロにするという意味ではないことです。
植物は光合成でCO2を利用しますし、森林などは炭素を吸収する重要な役割を持っています。
カーボンニュートラルとは、人間活動による温室効果ガスの排出量をできる限り減らし、残った排出量と吸収量を差し引いて、全体として実質ゼロにする考え方です。
太陽光発電の技術はこの十数年で大きく進歩し、同じ屋根でも以前より大きな容量を設置できるようになりました。
しかし、発電量が増えれば増えるほど、「どれだけ発電するか」だけでなく、「いつ使うか」が重要になります。
これからの再生可能エネルギーは、ただ電気をつくるだけでは十分ではありません。
必要な時に、必要な場所で、必要な量を使えるようにする。
そのための重要な装置が蓄電池です。
私は、これからの時代は「発電する技術」と「貯める技術」がセットになって初めて、再生可能エネルギーを本当の意味で使いこなせる時代になると考えています。
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